※1 レセプトコンピュータ…診療報酬明細書を作成するコンピュータシステムのこと。病院や調剤薬局など医療機関の窓口で使われている。※2 GCP(Good Clinical Practice)とは、医薬品の臨床試験実施の際に、企業や医療機関が守るべき基準をまとめた省令のこと。欧米諸国をはじめとした世界中で医薬品開発における国際的なルールとして認められているものを、厚生労働省がまとめている。NEW VISION MEMOそうですね。鈴木 先生自身、何か注目しているトピックがあれば教えてください。宮崎 最近も話題になりましたが、2020年にアメリカで多動症の子どもの治療薬として、ゲームがアメリカで承認されましたね。これは、物質としての薬から、情報が薬になりうるという一つの大転換だと感じています。鈴木 根拠を持って「お薬です」と認められたところがすごいですよね。丹治 処方箋を持って薬局に行くと薬剤師さんからゲームアプリのダウンロードサイトを患者さんにお伝えする。そんな未来が待っているわけですね。宮崎 そうですね。薬の概念が物質から情報へと広がることで、医療も当然変わっていきます。いつの時代も新しい薬は、患者さんだけでなくドクターも支えますからね。その担い手として、鈴木さんをはじめとする理科大薬学部出身の若い人たちが活躍することに期待したいです。丹治 先程「優れた研究者を輩出する」というスタンスを大切にしていきたいとおっしゃいましたが、弊社はサービス業であるにもかかわらず、理科大出身者を多く採用しています。一定の専門知識があるのはもちろんですが、いろんな立場で物事を考える意識があるので、弊社のようなお客様同士をつないでビジネスをする業態にもマッチした人材が多いと思っています。宮崎 理科大の場合、最初は薬剤師を目指して薬学部に進んだ学生たちも、半数の人が企業や行政に就職しています。その点は、他大学とは違った特色かもしれないですね。私が学生だった時代も含めて、薬剤師免許を取得してもそれに固執せず進路を決めるのは、理科大の伝統とも言えるでしょうね。鈴木 私の同期にも薬学の専門職だけでなく、いろいろな分野に進んだ人が多いです。ただ入学当初はかなり漠然としかイメージしていなかったと思います。例えば研究室を決める3年生のタイミングで社会人の方との接点があれば、自分の進路をより具体的にイメージした上で、研究室を選択できるかもしれませんね。宮崎 社会人との接点を大学内でも積極的につくる必要はありますよね。企業との連携や、社会人学生を増やすことで現役の学生たちの刺激を創出していきたいと考えています。丹治 企業との連携に関して言えば、弊社としてもベンチャーとの接点は増やしていこうとしています。薬や健康食品といったライフサイエンス関連のアカデミア発ベンチャーが目立って増えていますし、学生さんが絡むことも少なくないと思います。弊社では提携企業の紹介や薬機法でクリアすべき要件、市場調査などアカデミアが不得手なところを支援することで良いものを世に送り出すお手伝いができたらと思っています。宮崎 とてもありがたいお話です。研究者にはただの技術自慢で終わるのではなく、研究成果を社会に実装することで花開いてほしいと思っているので、これからもぜひご協力いただきたいです。現在薬学部では、野田キャンパスだけでなく、神楽坂にも5年程前から新たな拠点を構えています。こちらはおもに社会人博士の育成をメインにしたものです。現役の医師が学びに来ているほか、臨床データを分析する研究室も常設しているので「学び」に対する熱気を感じられると思います。丹治 それは興味深いですね。ぜひ足を運んでみようと思います。鈴木 医師として活躍しながら、さらに他の領域を学ぼうとする人たちが近くにいることは、とても良い刺激になりそうですね。宮崎 あくまでも私見ですが「自分はこれだ」という軸足を1つだけでなく、バイリンガル、マルチリンガルのように複数持つべきではないか。そういった気づきから学び直しをする社会人が増えている気がします。アメリカの大学生の平均年齢は30代前半。社会に出てからも学ぶことに積極的です。日本の大学もそのような在り方が必要だと考えています。丹治 先生との様々なお話を通して、医療の未来を支えるために、大学と企業が今何をすべきかを考える上で、たくさんのヒントをいただくことができました。本日はありがとうございました。学生時代は、遺伝子制御の研究室にいたのですが、当時、先生から言われた「研究を作業にしてはいけない」という教えを今も大切にしています。(鈴木)東京理科大学では、薬学部医療薬学教育研究支援センター(SCCPER)を設置。医療現場と社会の高まるニーズに応えるスキルをもった人材を育成するため、医療機関や製薬企業、行政と密な連携を取りつつ、薬学卒業生のスキルアップや研究活動を支援しています。「卒業生ネットワークとも連携し、在学生の進路も選択肢の幅を広げていきたいです。同窓生のみならず、本学の社会人大学院を活用して幅広く活躍してほしいと思います」。(宮崎学部長)(写真上)多くの学生が集う神楽坂キャンパス。(写真下)宮崎研究室に設置された、メモリやディスクの大きさをカスタマイズした特注のサーバー。学生たちが行う膨大な量の遺伝子データ解析を支えている。30年前のことを伺って、私が学生の頃使っていた技術の一つ一つが先代の努力の結晶だったのだなと感じることができました。今回はリモートによる開催でしたが、コロナの状況が落ち着いたらまた研究室に伺いたいと思います。宮崎智鈴木結衣丹治公典学びへの意欲を支援したい今回お話をさせていただいて、実際の企業で活躍されている卒業生の姿を「こんな明るい未来が待っている」と在学生にも見せたいと思いました。きっと、日々の研究を乗り越えるモチベーションになることでしょう。社会に出てから真摯に業務に取り組んでいると、学びたいという気持ちは高まるもの。大学は唯一学び直したいと思った時に入り直すことができる場所。卒業後でも学びたいことが出てきたら、ぜひいつでも本学の門戸を叩いてください。研究や創薬も新たな時代へ時代の変遷とともに、学問は消えないが形を変えて新たな学問になっていくのだなと実感しました。「ウェット」と「ドライ」と呼ばれる研究の考え方は印象的でした。データをどう活用するかという点では、私たちの展開するサービスにも同じことが言えるのではないでしょうか。学生ベンチャーとの関わりを増やして、大学での研究を社会で開花させたい。現代医療の発展・薬物治療の高度化に対応するため、薬学部卒業生の研究支援・生涯学習を支援。先人の偉大さを実感
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