PSQL Vx Server Product Guide (v11)

ライセンス

このセクションでは、Pervasive PSQL Vx Server のライセンスに関する以下の項目について説明します。

ライセンス モデル

Pervasive PSQL Vx Server は高度に仮想化された環境をサポートするよう設計されています。たとえば、Vx Server は完全仮想化、部分仮想化および準仮想化に加え、クラウド コンピューティング(プライベート、コミュニティおよびハイブリッド)にも対応しています。Pervasive PSQL Vx Server にはホスティング、接続プール、インターネットまたはイントラネットの使用に制限はありません。ライブ マイグレーション、フェイルオーバー、フォールト トレランス(FT)、高可用性(HA)および障害回復などのハイパーバイザー機能と一緒に使用するためにライセンスを追加する必要もありません。

仮想化環境による技術および動作は従来のものとは異なるため、その仮想環境に適したライセンス モデルが必要です。Pervasive PSQL Server および Workgroup 用のユーザー カウント ライセンス モデルでは不十分です。このモデルは、多くのユーザーまたはデバイスが別々のデスクトップから頻繁にレコードを追加、更新および削除するような従来型のクライアント/サーバー アプリケーションに適しています。

Pervasive PSQL Vx Server が使用するライセンス モデルでは、ユーザー数ではなくデータベース サーバー処理の作業量に重点を置くようになりました。このモデルは容量に基づいており、仮想化環境におけるライセンス執行に対応しています。たとえば、Pervasive PSQL Vx Server のインスタンスごとに、使用セッション数および使用データの両方に対して容量制限が設けられています(各インスタンスは仮想ホスト名およびすべての仮想 MAC アドレスによっても識別されます)。

使用セッション数(セッション数)

「セッション」とは、トランザクショナル エンジン インターフェイスによって使用されるクライアント ID、またはリレーショナル エンジン インターフェイスへの接続と定義されます。「クライアント ID」とは、データベース トランザクション コンテキストを一意に識別するために、アプリケーション、クライアント プラットフォームおよびデータベース エンジンによって提供される要素を組み合わせた 16 バイトの構造体と定義されます。

使用セッションの数は同時セッションの数です。「使用セッション数」は端的に「セッション数」ともいいます。「セッション数の制限値」とは、使用許諾契約書に従って許可される最大同時セッション数をいいます。

セッション数に関するメッセージは、Pervasive PSQL のさまざまなログ リポジトリに記録されます。メッセージ ログを参照してください。

データベース エンジンは、Pervasive PSQL システム ファイル、メタデータ ファイル、dbnames.cfg およびデフォルトのシステム データベースへのアクセスなど、独自の内部処理用にさまざまなセッションを使用します。これらの内部セッションについてはセッション数を消費しません。

使用データ

「使用データ」とは、同時に開く全データ ファイルの合計サイズと定義されます(データ ファイルは、アプリケーションで処理されるデータを提供するために、そのアプリケーションによって作成されるファイルです)。「使用データの制限値」とは、使用許諾契約書に従って許可される、同時に開く全データ ファイルの総量です。

使用データの値は、データ ファイルが初めて開かれたときに増加します。データ ファイルが既に開かれていれば、それ以降に開く際には総量に加算されません。使用データは、開くファイルのサイズが増加した場合にも増えます。既に開かれているファイルのサイズが大きくなって使用データの制限を超えても、そのファイルに対する操作は引き続き許可されます。

使用データの値は、データ ファイルを開いた最後のユーザーがそのデータ ファイルを閉じたとき減少します。複数のユーザーが同じデータ ファイルにアクセスできるので、そのデータ ファイルを開いたすべてのユーザーがそのファイルを閉じないと使用データは減少しません。

使用データに関するメッセージは、Pervasive PSQL のさまざまなログ リポジトリに記録されます。メッセージ ログを参照してください。

データベース エンジンは、Pervasive PSQL システム ファイル、メタデータ ファイル、dbnames.cfg およびデフォルトのシステム データベースなど、独自の内部処理用にさまざまなファイルを使用します。内部処理に使用するファイルによって使用データの値が増えることはありません。

セッション数と使用データの見積もり

PSQL Server から PSQL Vx Server へ移行する前に、ご自分のビジネスで必要とするライセンスのサイズを決定する必要があります。決定を下すには、セッション数と使用データの使用量に関する情報が必要です。Pervasive Software は、その情報を提供するために Capacity Usage ビューアーを用意しています。

Capacity Usage ビューアーは、毎日のセッション使用数のピークとデータ使用量のピークを記録するユーティリティです。これらの数字を 2 つのグラフに表し、長期にわたって表示します。Capacity Usage ビューアーでは、期間を "全期間" から "先週" までの範囲で選択できます。また、カスタマイズされた期間について、データの表示を拡大することもできます。

容量の要件を見積もるには、最大のライセンス要件と最小のライセンス要件を含んでいる期間を選択します。たとえば、ビジネスが四半期ごとのサイクルである場合、少なくとも 90 日分のデータを対象にしてください。データ使用量と同時セッション使用数を長期にわたって調査することで、確実に、PSQL Vx ライセンスの容量がピーク時の使用要件を満たす、または上回るようにすることができます。

Capacity Usage ビューアーのアクセス方法と使い方の詳細については、『Pervasive PSQL User's Guide』のCapacity Usage ビューアーを参照してください。


メモ

Monitor も、セッション数と使用データの見積りに役立ちます。『Advanced Operations Guide』のデータベース リソースの監視、および『Pervasive PSQL User's Guide』の Monitor を参照してください。


制限に達したときの動作

次の表では、セッション数および使用データが制限に達したときに予想される動作と推奨される対処方法をまとめています。

表 2 セッション数と使用データが制限に達したときに予想される動作
制限に達した項目
動作
対処方法
セッション数
データベース エンジンは新しいセッションのリクエストを拒否し、ステータス コード 161 をアプリケーションに返します。
セッション数の制限に達する前に確立していたセッションは引き続き動作し、中断されたり接続が切断されたりすることはありません。
セッション数に関するメッセージは、Pervasive PSQL のさまざまなログ リポジトリに記録されます。
セッション数に対する追加キーを認証します。追加キーはいつでも認証可能で、セッションを閉じたりデータベース エンジンを停止したりする必要はありません。この追加キーは直ちに使用できます。
現在のセッションをいくつか閉じるという対処の仕方もあります。ただし、この対処法の場合、閉じても安全なセッションを把握している必要があります。セッションを閉じた結果、データが不正になる、レコードが不完全になる、またはトランザクションが中止されることがないようにしなければなりません。
使用データ
データベース エンジンは新たにファイルを開くことを拒否し、ステータス コード 161 をアプリケーションに返します。1
既に開かれているデータ ファイルを別ユーザーが後から開くこともできます。つまり、ファイルが既に開かれていれば、使用データが制限に達した場合または制限を超えた場合でも、ほかのユーザーはその開いているファイルにアクセスすることができます。
開いているファイルのサイズが大きくなった場合には、使用データも増加することに注意してください。既に開かれているファイルのサイズが大きくなって使用データの制限を超えても、そのファイルに対する操作は引き続き許可されます。
使用データの値は、データ ファイルを開いた最後のユーザーがそのデータ ファイルを閉じたとき減少します。複数のユーザーが同じデータ ファイルにアクセスできるので、そのデータ ファイルを開いたすべてのユーザーがそのファイルを閉じないと使用データは減少しません。
使用データに関するメッセージは、Pervasive PSQL のさまざまなログ リポジトリに記録されます。たとえば、使用データがその制限値の 90% に達したときに、最初にメッセージによって警告します。
使用データに対する追加キーを認証します。追加キーはいつでも認証可能で、データ ファイルを閉じたりデータベース エンジンを停止したりする必要はありません。この追加キーは直ちに使用できます。
現在開いてるデータ ファイルをいくつか閉じるという対処の仕方もあります。ただし、この対処法の場合、閉じても安全なデータ ファイルを把握している必要があります。データ ファイルを閉じた結果、データが不正になる、レコードが不完全になる、またはトランザクションが中止されることがないようにしなければなりません。
1開かれるファイルが使用データの制限の 110% を超えた場合は、ステータス コード 161 が返されます。現在開かれているデータ ファイルのサイズが大きくなったことが原因で使用データが増加する可能性もあるので、100% を少し上回るバッファが提供されます。

製品キーと追加キー

Pervasive PSQL Vx Server は容量ベースのライセンス モデルを使用するため、独自の製品キーが必要です。Pervasive PSQL Server または Pervasive PSQL Workgroup 用のキーを使用して Pervasive PSQL Vx Server を認証することはできません。Pervasive PSQL Vx Server のインスタンスごとにキーが必要です。

セッション数および使用データは、Pervasive Software またはアプリケーション ベンダーによって発行される Pervasive PSQL Vx Server キーに定義されています。キーは、セッション数の制限および使用データの制限に対するさまざまな値の組み合わせで利用することができます。詳細については、http://www.agtech.co.jp/products/pervasive/ をご覧ください。

セッション数または使用データの値の増加

Pervasive Software またはアプリケーション ベンダーでは、セッション数の制限値、使用データの制限値、またはその両方の制限値を上げるキーを提供します(概念上、このキーは Pervasive PSQL Server または Pervasive PSQL Workgroup 用と同じユーザー数追加キーです)。

キーを認証すると直ちに、セッション数の制限値、使用データの制限値またはその両方の制限値が増加します。データベース エンジンの再起動は必要ありません。追加キーは、期限なしキーがなければ認証できません。一時キーに対して追加キーを認証することはできません。

期限なしキーを認証解除する場合、そのキーに関連付けられている追加キーもすべて認証解除されます。

セッション数または使用データに対する制限値が増えると、データベース エンジンは Pervasive PSQL ログ リポジトリにメッセージを記録することに留意してください。このメッセージには現在の制限値と使用量が記録されています。メッセージ ログも参照してください。Monitor ユーティリティでセッション数と使用データの現在値、ピーク値および最大値を監視することができます。『Advanced Operations Guide』のデータベース リソースの監視を参照してください。

影響を受けるステータス コード

以下のステータス コードについては、両方のライセンス モデル(ユーザー数および容量ベース)に対応するように変更されています。

影響を受ける ユーティリティ

以下のユーティリティは容量ベース ライセンス モデルに適応させるため変更されました。

License Administrator(GUI および CLI)

License Administrator では、キーに対するセッション数の制限値および使用データの制限値を表示します。セッション数の制限値および使用データの制限値を増やすキーを認証することもできます。キーによっては、単独の追加キーで両方の値を増やすことができます。詳細については、『Pervasive PSQL User's Guide』の ライセンス管理を参照してください。

Monitor

Monitor にはセッション数と使用データに関して以下の変更があります。この変更の概要はグラフィカル ユーザー インターフェイスを対象としています。コマンド ライン インターフェイス(bmon)にも必要に応じて同様の変更があります。詳細については、『Advanced Operations Guide』の データベース リソースの監視を参照してください。

Monitor を変更することで、セッション数と使用データのライセンス要件が見積もりしやすくなります。たとえば、Monitor ではセッション数と使用データのピーク値を表示し、データベース エンジンの実行時間が通知されます。継続時間とピーク値を使用すれば、より正確な見積もりを行うことができます。容量を見積もる場合は、ピークの状態から測定される値を含めます。

メッセージ ログ

容量ベース ライセンス モデルに関するメッセージは、Notification Viewer、PVSW.LOG およびオペレーティング システムのイベント ログの全ログ リポジトリに記録されます。 Notification Viewer へ記録されるメッセージは、オペレーティング システムのイベント ログおよび PVSW.LOG へも記録されます。 オペレーティング システムのイベント ログへ記録されるメッセージは、PVSW.LOG へも記録されます。 メッセージに、開いているファイルの一覧が含まれる場合、その一覧は PVSW.LOG にのみ記録されます。 『Pervasive PSQL User's Guide』のPervasive PSQL メッセージ ログも参照してください。 .

セッション数または使用データに対する容量が増加または減少した場合、データベース エンジンはメッセージを記録します。このメッセージには現在の容量値と使用量が記録されています。Monitor ユーティリティでセッション数と使用データの現在値、ピーク値および最大値を監視することができます。『Advanced Operations Guide』のデータベース リソースの監視を参照してください。

セッション数

セッション数に関するメッセージはすべて情報メッセージです。セッション数のメッセージは、セッション数がその制限値に達したとき、セッション数がある一定期間後に許容範囲に戻るとき、セッション数の容量が変更したときに通知されます。

アクティブな同時セッションの総数がセッション数の制限値と等しくなった場合、データベース エンジンは新しいセッションのリクエストを拒否し、ステータス コード 161 をアプリケーションに返します。確立済みのセッションはそのまま動作し続け、中断されたり接続が切断されたりすることはありません。

セッションがそのファイル ハンドルをすべて閉じると、セッション数は減少します。セッション数を減らすためにリセット操作を行う必要はありません。しかし、セッションがリセットされないと、そのセッションによってセッション数が増えないとしても、Monitor でアクティブ セッションの一覧にそのセッションが表示されるので注意してください。『Advanced Operations Guide』のセッション情報の表示を参照してください。

使用データ

使用データに関するメッセージのタイプは、情報、警告またはエラーです。必要に応じて、メッセージは修正方法に関するアドバイスを提供します。

使用データがその制限値の 90% に達したときに、最初にメッセージによって警告します。このメッセージでは、使用データがその制限値に近づいているので、まもなく対処する必要があると注意を促します。使用データが制限値の 100% に達した、または 100% をやや上回ったときは、追加メッセージが頻繁に表示されるようになります(現在開かれているデータ ファイルのサイズが大きくなったことが原因で使用データが増加する可能性もあるので、100% を上回るバッファが提供されます)。

メッセージが単なる説明であれば、ファイルに対する操作が可能です。ファイルを初めて開いた場合、または既にファイルが開かれており、そのサイズが増加した場合のいずれを問わずメッセージが記録されます。

開かれるファイルによって使用データの制限値の 110% を超える場合、データベース エンジンはそのファイルを開くリクエストを拒否し、ステータス コード 161 をアプリケーションに返します。PVSW.LOG およびオペレーティング システムのイベント ログに記録されるエラー メッセージには、そのファイルの名前、サイズおよび使用データの制限値が記載されます。既に開かれているファイルは引き続き使用可能で、それらのファイルへのアクセスが中断されたり接続が切断されたりすることはありません。

影響を受けるアクセス方法

以下の SDK アクセス方法は、容量ベース ライセンス モデルに適応させるため変更されました。

DTI

DTO

DTO への変更はすべて DTO2 にのみ適用します。『Distributed Tuning Objects Guide』のDTO2を参照してください。

アプリケーションで必要となる変更

通常、アプリケーションに対する変更は必要ありません。お使いのアプリケーションが既に Pervasive PSQL Server または Workgroup で動作しているのであれば、Pervasive PSQL Vx Server でも動作します。

アプリケーションで DTI または DTO を使用しており、容量ベースのライセンス モデル用の追加機能を使用する場合は、アプリケーションを修正する必要があります。影響を受けるアクセス方法を参照してください。

キーの検証

Pervasive PSQL Vx Server は、データベース エンジン用のキーが有効かどうかを定期的に検証します。この検証にはインターネット接続が必要です。

定期的な検証処理でキーが無効と判定されると、そのキーの状態は "アクティブ" から "検証失敗" に変わります。この状態でも 30 日間はデータベース エンジンが正常に機能するので、検証失敗を修正するための時間は十分にあります。

検証失敗への対応を適時に行う必要があるため、キーの状態の変更は Pervasive PSQL Vx Server で使用されるさまざまなログ リポジトリからできるだけ早く通知されるようになっています。『Pervasive PSQL User's Guide』のPervasive PSQL メッセージ ログを参照してください。

この期間が終わる前に検証失敗を修正しなかった場合は、キーの状態が "無効" に変わります。これにより、このキーは無効となりデータベース エンジンはデータ ファイルにアクセスできなくなります。

たとえば、ネットワークがインターネット接続を失った場合、接続を復旧し Pervasive PSQL Vx Server を再検証するための期間が 30 日間設けられます。 Pervasive PSQL Vx Server はさまざまなメッセージ リポジトリにメッセージを記録して、インターネット接続が失われていることを通知します。猶予期間内にインターネット接続が復旧されない場合、Pervasive PSQL Vx Server キーは無効になります。


動作要件

データのバックアップ