Getting Started with Pervasive PSQL (v11)

概要

このセクションでは、ワークグループ エンジンの基本的なコンセプトと要件について説明します。ワークグループ エンジンについて、より詳しい情報が必要な場合は、『Advanced Operations Guide』を参照してください。『Advanced Operations Guide』には、ワークグループ エンジン、ゲートウェイ構成のセットアップおよびリダイレクト ロケーター ファイルについての技術的な説明があります。

インストール要件

同じデータに同時にアクセスするすべてのコンピューターにワークグループ エンジンをインストールする必要があります。

オペレーティング システムのセキュリティ

データベース サーバー エンジンでは、ユーザー名に割り当てられた権限によって OS レベルのファイル セキュリティを設定することができます。ワークグループ エンジンではこれを行いません。ワークグループ エンジンが最も一般的に使用される小規模オフィスでは、ネットワークの専門家が不足している場合があり、わずかなセキュリティでデータにアクセスできることが好ましいため、これが理想的であると考えます。

ワークグループの使用に適した状況

ワークグループ エンジンの使用に適する 3 つの主な構成があります。

小規模クライアント/サーバー構成

この構成を行うのは、ワークグループ エンジンがインストールされている 1 台のコンピューター上にすべてのデータが存在し、データの共有に制限がある場合です。この構成は、ほとんどの小規模クライアント/サーバー設定に対応します。

ピアツーピア構成

次に、ワークステーション間でデータを配布するのにワークグループ エンジンを使用する場合です。これをピアツーピア トポロジと言います。この構成は、各アプリケーションで通常はそのデータの多くをローカル ハード ドライブに保存するが、定期的にほかのワークステーションのデータにアクセスする、またはデータをほかのワークステーションと共有する必要がある場合に使用します。

この構成では、各コンピューターでそれぞれデータ ディレクトリまたはディレクトリを共有します。そのデータにアクセスする必要のあるコンピューターは、共有データ ディレクトリに 1 つまたは複数のドライブをマップします。各コンピューターのワークグループ エンジンがそれぞれミニ サーバー エンジンとして動作し、そのコンピューターにあるデータ ファイルの読み込み、または書き込みを行います。

ゲートウェイ構成

ワークグループ エンジンを必要とする 3 つめのトポロジは、MicroKernel エンジンがないサーバー上のファイルにデータが保存されている場合です。これは Linux サーバーや定期的にバックアップを行うほかのタイプのネットワーク ファイル サーバーですが、MicroKernel エンジンをサポートすることができません。このような状況では、サーバーのディレクトリにあるファイルを最初に開いたワークグループ エンジンがそのディレクトリ内の各ファイルへのゲートウェイとなります。その他のワークステーションは、ゲートウェイ エンジンを経由してクライアント サーバー形式でデータにアクセスします。

特定のディレクトリへのゲートウェイ エンジンは、そのディレクトリに ~PVSW~.LOC という名前のファイルを作成することによってそのエンジン自身を識別します。このファイルは「ゲートウェイ ロケーター ファイル」と呼ばれ、ゲートウェイ エンジンが存在するコンピューターのネットワーク名が含まれます。ほかのワークグループ エンジンがこのデータへのアクセスを試行する場合は、ロケーター ファイルを読み込んで、データにアクセスするために通信する必要のあるエンジンの名前を見つけます。

ロケーター ファイルを読み取り専用にすると、常に同じエンジンで特定のディレクトリのファイルを提供させることができます。これは静的なゲートウェイであり、「固定ゲートウェイ」と呼びます。詳細については、固定ゲートウェイをセットアップするにはを参照してください。

ゲートウェイ エンジンは、データ ファイルへのページの読み込みおよび書き込みを行うサーバー エンジンとして動作し、そのキャッシュを最も有効利用することができます。ゲートウェイ機能は、現在のゲートウェイ エンジンにおいて特定のディレクトリ内のファイルを開いているクライアント アプリケーションがない場合は、そのディレクトリのオーナーシップを変更できるよう設計されています。あるデータベース エンジンが、ディレクトリ内の(使用していた)最後のデータ ファイルを閉じると、そのエンジンがロケーター ファイルを解放して削除します。次にデータ ファイルを開いたエンジンが、そのデータ ファイルがあるディレクトリへの新しいゲートウェイ エンジンとなります。

ゲートウェイ エンジンとは

ゲートウェイ エンジン」は、リモート ファイル サーバーにある特定のディレクトリ内のすべてのファイルにアクセスする唯一の経路として動作するワークグループ エンジンです。複数のワークグループ エンジンが同時に同じデータベースにアクセスする場合、これらのエンジンは同時にすべてのファイルを開かず、ファイルを共有することもありません。そのデータベースに最初にアクセスしたワークグループ エンジンがそれらのファイルの一時的な "オーナー" になるので、その他すべてのワークグループ エンジンはゲートウェイ エンジンにコンタクトすることによってデータにアクセスしなければなりません。ゲートウェイ エンジンのみがファイルを開き、そのファイルの読み込み/書き込みを行います。その他のワークグループ エンジンはクライアントとなり、ミニ サーバー エンジンとして動作するゲートウェイ エンジンへリクエストします。


注意

ユーザーがコンピューターをゲートウェイとして使用している間は、そのコンピューターをシャットダウンしないようにしてください。シャットダウンしてしまうとデータが失われます。


データ ファイルが存在するコンピューター上にデータベース エンジンがインストールされていない、またはそのコンピューター上でデータベース エンジンが起動していない場合にのみ、ゲートウェイ エンジンが動作します。


ワークグループ エンジンの構成

小規模クライアント/サーバー構成のセットアップ