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インターネット プロトコル バージョン 6(IPv6)は IPv4 の後継として設計された次世代インターネット プロトコルです。ここでは、以下の項目について説明します。
Pervasive PSQL v11 は Windows オペレーティング システムにおける以下のアクセス方法に IPv6 をサポートします。
どちらのアクセス方法も、IPv4 環境、IPv6 環境、またはこれら 2 つを兼ね備えた環境で正しく機能します。Pervasive PSQL で特別な設定を行う必要はありません。
Pervasive PSQL クライアントは、Pervasive PSQL データベース エンジンを実行している IPv6 ホストへ接続します。これは IPv4 の場合も同じです。つまり、クライアントは DTI を介して、あるいは URI または UNC の記述によってサーバーを指定し接続します。サーバーの指定は、Pervasive PSQL サーバーまたはワークグループが実行されているマシンのマシン名または IP アドレスのどちらを用いても可能です。
以下のドキュメントも参照してください。
次に IPv6 アドレスを使用してサーバーを指定する方法について説明します。
未加工の IPv6 アドレスは、コロンで区切られた 8 個のセグメントで構成されます。各セグメントは 4 桁の 16 進数値として記述できます。たとえば、「1234:5678:90ab:cdef:1234:5678:90ab:cdef」と表記されます。
Pervasive PSQL がサポートするのはユニキャスト アドレスのみです。Pervasive PSQL で使用できるユニキャスト アドレス形式は以下のとおりです。
ユニキャスト アドレス形式
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説明
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ループバック
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IPv6 でローカル ループバック アドレスは 0:0:0:0:0:0:0:1 と表記されます。このループバック アドレスは ::1 と省略表記することができます。
IPv6 のループバック アドレスは、IPv4 のループバック アドレス 127.0.0.1 に相当します。
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グローバル
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グローバル アドレスは 64 ビット プレフィックスを持ちます。先頭から 3 ビットは常に 001 で、次の 45 ビットはグローバル ルーティング プレフィックス、その次の 16 ビットにはサブネット ID が設定され、最後の 64 ビットはインターフェイス ID となります。
例:2001:db8:28:3:f98a:5b31:67b7:67ef
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リンク ローカル
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リンク ローカル アドレスは、同じリンク上の近隣ノードと通信を行う際にノードによって使用されます。 リンク ローカル アドレスは 64 ビット プレフィックスを持ちます。先頭から 10 ビットには 1111 1110 10、次の 54 ビットには 0 が設定され、最後の 64 ビットはインターフェイス ID となります。 このリンク ローカル アドレスのプレフィックスはたいてい FE80::/64 と表します。
例:fe80:0:0:0:713e:a426:d167:37ab
(fe80::713e:a426:d167:37ab と指定することもできます)。
制限事項も参照してください。
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IPv6 にはアドレス識別子が含まれています。この識別子はショートカットとして機能したり、また詳細な宛先の指定に用いたりすることができます。 Pervasive PSQL は IPv6 に以下の修飾子をサポートします。
修飾子
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説明
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::
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1 つ以上のゼロがコロンで区切られていることを表します。 たとえば、::1 は 0:0:0:0:0:0:0:0:1 に相当します。 この修飾子 :: は IPv6 アドレス内で 1 回のみ使用できます。
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%
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宛先ノードのゾーン ID またはインターフェイスを表します。ゾーン ID は IPv6 トラフィックの宛先のゾーンを指定する整数値です。
制限事項を参照してください。
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UNC パスでは、コロンなど特定の文字を使用することはできません。 未加工の IPv6 アドレスではコロンを使用するので、UNC パスの扱いには異なる方法が使用できます。 Pervasive PSQL は以下の方法をサポートします。
ipv6-literal.net 名は以下に示す 3 つの変更を施した未加工の IPv6 アドレスです。
例:
当初のアドレス
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fe80::713e:a426:d167:37ab%4
2001:db8:28:3:f98a:5b31:67b7:67ef
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変更されたアドレス
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fe80--713e-a426-d167-37abs4.ipv6-literal.net
2001-db8-28-3-f98a-5b31-67b7-67ef.ipv6-literal.net
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Ipv6-literal.net 名は Pervasive PSQL で使用される URI または UNC で受け入れられます。
かっこ付き IPv6 アドレスとは角かっこで囲まれた未加工の IPv6 アドレスです。この形式は UNC で正しく動作するアドレスとしても参照されます。
例:
当初のアドレス
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fe80::713e:a426:d167:37ab%4
2001:db8:28:3:f98a:5b31:67b7:67ef
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変更されたアドレス
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[fe80::713e:a426:d167:37ab%4]
[2001:db8:28:3:f98a:5b31:67b7:67ef]
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角かっこの使用は、Pervasive PSQL における URI または UNC で使用する未加工の IPv6 アドレスには必要です。制限事項を参照してください。URI で、ゾーン ID を含めたアドレスを使用する場合、ゾーン ID 文字 "%" はエスケープ文字 "%25" に置き換えられることに注意してください。制限事項を参照してください。
Pervasive PSQL で IPv6 を使用する際の制限事項を次の表に示します。
次の表では、Pervasive PSQL v11 における IPv6 のサポートについてよく寄せられる質問(FAQ)の回答を記載しています。
質問
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回答
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IPv6 を用いて自動再接続機能の Pervasive Auto Reconnect(PARC)を使用できますか?
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はい。
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仮想マシン環境で Pervasive PSQL は IPv6 通信をサポートしますか?
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はい。
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IPv6 のサポートはリレーショナル アクセス方法(SRDE)に対しても適用されますか?
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いいえ。 トランザクショナルおよび DTI アクセス方法のみがサポートされます。
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IPv6 は Linux ディストリビューションや Macintosh OS X でサポートされますか?
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いいえ。 Windows プラットフォームのみサポートされます。
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IPv6 は Pervasive DataExchange および Backup Agent でサポートされますか?
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いいえ。
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IPv4 と IPv6 が共存するネットワーク環境は Pervasive PSQL ユーザー カウントに影響がありますか?
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いいえ。 Pervasive PSQL サーバーまたはワークグループは、同じクライアント コンピューター セッション(TCP/IP および SPX など)から受信する一意のプロトコルごとに 1 つのユーザー カウントを使用します。IPv4 および IPv6 は単に TCP/IP のアドレス形式の異なったものです。
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[リッスン IP アドレス]設定に複数のアドレスを設定することはできます?
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はい。リッスン IP アドレスを参照してください。
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以下の Pervasive PSQL ユーティリティで IPv6 がサポートされます。これらユーティリティで特別な設定を行う必要はありません。
ユーティリティ
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関連項目
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bcfg
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『Advanced Operations Guide』の設定リファレンス
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Function Executor
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『Advanced Operations Guide』の Btrieve オペレーションのテスト
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License Administrator(および clilcadm)
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『Pervasive PSQL User's Guide』のライセンス管理
制限事項を参照してください。
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Monitor(および bmon)
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『Advanced Operations Guide』のデータベース リソースのモニター
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Pervasive PSQL Control Center(PCC)
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『Pervasive PSQL User's Guide』の Pervasive PSQL Control Center の使用
IPv6 のみの環境で PCC を使用する場合は、制限事項を参照してください。
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IPv6 は広く採用されていないため、ここではアプリケーション プログラマーにとって有用と思われるいくつかの側面について説明します。ネットワークの概念または IPv6 の詳しい説明は行いませんが、IPv6 について簡単に紹介します。IPv6 の詳しい説明については、www.ipv6.org(英語サイト)に記載の「IPv6 specification(仕様)」、また、さまざまなオペレーティング システム ベンダーおよびネットワーク ハードウェア ベンダーが提供している IPv6 ドキュメントを参照してください。
IPv6 は IPv4 の後継として設計された次世代インターネット プロトコルです。IPv4 はインターネットで使用された最初のインプリメンテーションであり、現在も最も多く使用されています。IPv4 には、その使用年数やネットワークにおける世界的環境の変化のため、将来的なニーズに対応できない限界がいくつかあります。
最も深刻な限界は、アドレス空間がいずれ枯渇するということでしょう。現在でさえ、パブリック IPv4 アドレスは相対的に十分とはいえません。さらに、全世界に広がるネットワークでは、構成性能の簡素化、セキュリティの強化および拡張性など、IPv4 が提供できる限度を超えた要件を導入しています。
IPv6 アドレスは、IPv4 の欠点を解決するだけでなく多くの利点をもたらします。最近のハードウェアやオペレーティング システムでは IPv6 サポートを提供します。特定の分野のアプリケーションでは既に IPv6 サポートが必要となっています。たとえば、米国および日本の政府は IPv6 への対応を義務付けています。IPv4 はいずれ IPv6 に切り替えられるため、この切り替えが早ければ早いほど IPv6 の利点がわかるようになります。
IPv4 から IPv6 サポートへの移行期間中は、いくつかのオペレーティング システムで両方のプロトコルが機能する可能性があります。オペレーティング システムによって、これは "デュアル レイヤー" または "デュアル スタック" と呼ばれます。ただし、IPv4 および IPv6 トラフィックは別々にルーティングされます。2 つのホスト間で通信する場合、双方が共に IPv4 対応、あるいは IPv6 対応である必要があります。
オペレーティング システム レベルでネットワーク設定を構成する場合は、以下の点に留意してください。
hosts ファイル内で、各 IP は互換性のあるアドレス形式を持つ行のみを使用します。たとえば、あるホスト名の IPv4 アドレスを要求した場合、IPv6 の行は無視されます。また、互換性のあるアドレスが localhost に適用されるので、通常 hosts ファイルには 127.0.0.1(IPv4)および ::1(IPv6)という localhost 行があります。
ホスト名を IP アドレスへ変換するために検索を行う場合、アプリケーション プログラマーが IPv4、IPV6 またはその両方を使用するかどうかを指定します。オペレーティング システムのネットワーク コンポーネントは、管理者レベルの環境設定を使用して、ローカル hosts ファイル、ローカル DNS キャッシュ、リモート DNS サーバーなど、検索の順序を決定します。IPv6 では、DNS を使用しないでリモート マシンを見つけることができる新しい自動検出プロトコルがあります。
以下の制限事項に従い、hosts ファイルに IPv6 アドレスを指定できます。
hosts ファイルが最も役立つのは、ゾーン ID が不要な場合です。
ゾーン ID はネットワーク インターフェイスに割り当てられます。単独のネットワーク インターフェイス カード(NIC)およびゲートウェイを用いる場合、ゾーン ID は必要とされません。これは、単独のゲートウェイであれば 1 つのルートのみで到達するからです。IPv6 に対応しているほとんどマシンには、ISATAP、6to4、または Teredo のような変換ルーターのビルトイン サポートのため、複数のインターフェイスが搭載されています。
netsh コマンドでは、インターフェイス名("Local Area Connection 2" または "eth0" など)を使用する必要があります(interface= パラメーターを使用します)。IPv6 アドレスで ping を使用する場合は、ゾーン ID を使用する必要があるかもしれません。たとえば、「fe80::abcd%10」と指定される場合、10 進数の 10 がゾーン ID です。
Windows プラットフォームでは、ipconfig コマンドを使用するとインターフェイスごとのゾーンID を表示できます。
IPv6 では、DNS(Domain Name System)を使用しないでリモート マシンを見つけることができる自動検出プロトコルがあります。LLMNR(Link Local Multicast Name Resolution:リンク ローカル マルチキャスト名前解決)は、DNS パケット形式に基づくプロトコルです。LLMNR を使用すると、IPv4 ホストおよび IPv6 ホストのどちらも、DNS サーバーを使用することなく単一のサブネット上のホストの名前解決を行うことができます。各 IPv6 マシンはリンク ローカル アドレスを持つため、そのマシンがサブネット上に存在する場合は、リンク グローバル アドレスで DNS 検索を行う前に、LLMNR によってそのマシンの場所を特定(名前解決)します。
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